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フランスワインのラベルをとことん読む(ブルゴーニュ編)

Hitomi
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フランスワインの中でもボルドーと並んで屈指の名産地として知られるブルゴーニュのワインは、男女問わず高い支持率を誇っています。
フランスワインのブルゴーニュは、味わいはもちろん、美しいラベルをこよなく愛する人が多い銘柄として「ジャケ買い」も後を絶たないと評判です。ところが、ラベルの読み方をよく知る人となると多くはありません。しかし、実はコツを覚えると、意外なほどスルスルと理解ができるようになるのがブルゴーニュのラベルです。

今回は、フランスワインの代表格、ブルゴーニュのラベルの読み方をご紹介します。ワイン通や愛好家でも知らない人が少なくないワインラベルの読み解き方を、ぜひこの機会に覚えてみてください。特にワインビギナーの人は、知れば知るほど、フランスワインとブルゴーニュの奥深さにますますハマってしまうでしょう。


知れば知るほど面白い!ブルゴーニュのラベルの特徴と読み方のコツとは?

2015年度世界ワイン生産量ランキングにおいて、イタリアに次いで僅差で2位につけ「ワインといえばフランス」との認知度が高いワイン大国、フランス。ワイン生産量ではイタリア、ぶどう栽培面積ではスペインがそれぞれ世界1位とはいうものの、類まれな品質の高さには定評があります。独自性豊かな洗練されたワイン文化、圧倒的な知名度などで、変わらず「フランスの右に出るワイン産地はない」とも称されているほど。

その大きな理由にあげられるのが、フランスの気候と風土がワインに用いられるぶどうの栽培に適していることです。また、こうしたポテンシャルや優位性にあぐらをかくことなく、1935年のAOC法制定など、国をあげて品質向上や維持に積極的に取り組んでいることもフランスならではの魅力です。フランスにとってワインはなくてはならないものであり、文化を守り継承するフランスの意気を感じる存在といえるでしょう。

そんなフランスワインの代表格、ブルゴーニュは、ボルドーと並び、フランスワインの中でもっとも有名な銘柄です。2種類以上のぶどうをブレンドし、複雑かつ芳醇な味わいに仕上げるボルドーに対し、ブルゴーニュは1つの品種のみでつくられます。ぶどうのブレンド比率を変えることで、たとえばある年の品種の出来がイマイチだったとしてもある程度カバーできる利点をもつボルドーとは異なり、不作などの自然の影響を受けやすいとはいえ、1種類の上質なぶどうのみで完成するブルゴーニュは繊細で上品かつ優雅な味わいが特徴です。
加えて、1種類しか使用しないため、生産地の個性や生産者の醸造方法がダイレクトにあらわれる特性をもっており、こうした持ち味が繊細な味わい深さにつながっているともいわれています。赤ワインはピノ・ノワール、白ワインはシャルドネのみを用いているので、この品種だけ覚えておけばOKなのはワインビギナーにもうれしいポイントといえるでしょう。また、赤ワインは色鮮やかで渋味が少なく、すっきりした酸味と高い香りなので飲みやすい赤ワインとして知られています。白ワインも世界的に名高く、モンラッシェ、ムルソー、コルトン・シャルルマーニュがブルゴーニュ3大白ワインと呼ばれています。

そのブルゴーニュのラベルは、ワインの個性を引き立てる繊細かつエスプリの効いた見とれるほどのデザインが多いことでも有名です。「ジャケ買い」する人がもっとも多いといわれるフランスワインの中でも、「特筆すべき美しいラベルに出会える」との声がよく聞かれる銘柄と好評です。そんなデザイン性でラベルに惹かれるだけでなく、美しく配置された情報を読み解くことができれば、さらにワインの世界のとりこになることは間違いないでしょう。フランスワインは判読しやすいスッキリとしたデザインのラベルが多いので、ぜひ1つずつ項目を覚えてみてください。AOCが定める厳しい基準に合格したワインのみが名乗ることができるAOCワインの基本項目を覚えておくだけで、ワイン好きとして格上げされることでしょう。


原産地名称

ブルゴーニュのラベルにおける、もっとも重要な項目といってもいいのが「原産地名称」です。これは、ぶどうの原産地をあらわしており、AOCワインの場合、AOCで定められた指定栽培地の名称が入っています。そのワインの生まれは一体どこなのかを一番わかりやすく記載している項目なので、まずは「原産地名称」からチェックするといいでしょう。


AOCワインの証明

原産地名称とともに、ブルゴーニュをはじめフランスワインの中でもAOCワインの特徴といえるのが「AOCワインの証明」をあらわす項目です。AOCの基準に合格したワインには、ラベルに原産地を正確に記載するルールが定められており、大きく記述される原産地名称とは別に、Appellationからはじまり、間に原産地域を記してContrôléeで結ぶ「AOCワインの証明」の項目が必ず明記されています。

この「AOCワインの証明」の項目には、地方名→地区名→村名→畑名と名前が細分化されています。たとえば、AppellationからContrôléeの間が長く、地方名から順番に並べて畑名まで記載されたラベルは、その畑のぶどうしか使用していないワインということです。これが村名までの記載になると、記載の村にあるA畑、B畑など複数の畑のぶどうを使用してもOKという意味になります。地区名までなら、記載地区であればA村、B村のA畑、B畑など複数のぶどうを使用してもOKの意味です。さらに地方名のみの記載だと、ブルゴーニュ地方のぶどうであればすべてOKという意味になります。こうした細かな判別が「AOCワインの証明」をあらわす項目を覚えるだけで理解できるようになります。

また、この区画が小さくなるごとに、AOCの規制内容が厳しくなることが特徴です。その分、より一層厳しい基準に合格しているため、ワインの品質が非常に高く、その産地の個性がギュッとつまった素晴らしい1本であるといわれています。つまり、AppellationとContrôléeの間にはさまれて記載された地域が狭いほど、上質なブルゴーニュワインであるということです。このため、もっとも注目する項目としてワイン選びの重要ポイントにあげる愛好家も少なくありません。ぜひ覚えておいてください。


所有ぶどう園での瓶詰め

ぶどうの収穫と醸造を行ったぶどう園、あるいは収穫および醸造のぶどう園から近い場所で瓶詰めが行われた場合、「所有ぶどう園での瓶詰め」をあらわす項目が明記されます。所有ぶどう園で瓶詰めされたことを示す記載なので、その場合に限って記すことが許される項目です。生産地で瓶詰めまで一貫して行われたことまでこだわる人はチェックしているので、購入時や、レストランなどでワインをたしなむ際のために、ぜひ覚えて参考にしてください。


容量

ワインがどのくらい入っているかをあらわすのが「容量」です。ml・cl・lで表記されています。ボトルの大きさでも判別はできるとはいえ、ひと目でわかりやすいのは、やはり容量の数値を確認することです。


アルコール度数

ブルゴーニュワインがどの程度のアルコール度数であるかを示すのが、「アルコール度数」の項目です。フランスのAOCワインの場合、アルコール度数まで規定できちんと定められていることが特徴です。
最低アルコール度数は、赤ワインとロゼワインは10度、白ワインは10.5度です。反対に、最高アルコール度数は、赤ワインとロゼワインは13度、白ワインは13.5度に規定されています。品質を保証するための基準が明確なのがフランス、とりわけAOCに定められたワインといえます。ブルゴーニュで醸造されたAOCワインも、基本的にアルコール度数はこの範囲内でつくられてラベルに記載されているので、店頭などで確認してみてください。


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瓶詰め元

瓶詰め元」の項目には、一般的に名前と住所が記載されています。「瓶詰め元」はそのワインの法的責任を負うことが定められているため、必ず記載される項目のひとつです。


ヴィンテージ

そのワインに使用されたぶどうの収穫年を示す「ヴィンテージ」は、ワインのラベルにおいてもっともポピュラーであり、誰もが自然と目がいく項目といえるでしょう。
一般的に、ワインには当たり年、はずれ年というものがあり、その判別にも利用されるのが「ヴィンテージ」の項目です。特にブルゴーニュワインの場合、1つの品種のみでつくられる特徴をもつため、不作などの影響を受けやすい銘柄であることから「ヴィンテージ」の項目を重要視するソムリエや愛好家が多いといわれています。「当たり年とはずれ年のブルゴーニュは雲泥の差がある」と評する人間もいて、それほどぶどうの出来の影響を受ける繊細な銘柄といえるでしょう。その分、当たり年のブルゴーニュは他の追随を許さないと大絶賛される代物が多く、毎年ブルゴーニュの出荷を楽しみにするファンが後を絶たないと評判です。
ブルゴーニュの特徴をふまえ、おいしいワインとして仕上がった年であれば、ぜひ積極的に誕生年ギフトとしても活用してみてください。

詳しくはワインビンテージチャート


銘柄名

ワイン名とも呼ばれる「銘柄名」は、ワインの顔とも称され、ラベルの中でももっとも大きく表記される項目です。シャトーや醸造所の名称、またはブランド名が用いられることが多く、「銘柄名」の微妙な違いだけで楽しめるなんていう愛好家もいます。
ワインの顔だけあって、一番デザイン性に富んだロゴがあしらわれていることも特徴です。「銘柄名」の美しさに見とれて手にとったり、ラベルコレクションをしていたりする人も多いので、ワインビギナーの人ほど「銘柄名」から注目してみるのもおすすめです。


ボトルの形が違う

ラベルとはまた別に、フランスワインの特徴としてあげられる大きなひとつが、ボトルの形でワインの生産地を判別できることです。代表的なのが、2大産地のボルドーとブルゴーニュといわれています。
ボルドーは、ワインボトルのもっともポピュラーなデザインとも呼ばれており、いかり肩の瓶が特徴として知られています。ブルゴーニュはどんな形かというと、こちらはなで肩で安定した形が印象的なデザインです。赤ワイン、白ワインともに薄い緑色が採用されており、店頭などで薄い緑色のボトルのフランスワインを見かけたらブルゴーニュであると判断してほぼ間違いありません。また、これらをベースにしたボトルが世界各国で使用されていることからも、いかにフランスワインがワイン界を牽引してきたかがよくわかります。このほか、シャンパン型、プロヴァンス型、アルザス型などもあり、美の国フランスらしいデザイン性の豊かさをワインでも堪能できるといえるでしょう。


美しいラベルとボトルがそろうブルゴーニュのワイン

そんな世界各国のワインボトルのスタンダードにもなったフランスワインを代表するブルゴーニュは、冒頭でも触れた通り、「ジャケ買い」する人も多いワインです。CDなどの「ジャケ買い」と同じく、ラベルがもつデザイン性や雰囲気などでワインを選ぶことは間違いではなく、むしろおすすめの選び方として推奨されています。その理由は「ラベルはワインの大事な顔である」という考え方がベースにあるからです。自らの手でたいせつに醸造したワインには、造り手が味わいをイメージしながらラベルをデザインしています。このため、ラベルのデザインセンスがよいワインは、味わいにもセンスがあると称されるほどです。また、おしゃれなラベルが気に入って手にとったそのワインの造り手が手がけたほかのワインも、センスが感じられるものが多いといわれています。いかにワインが感性や感覚とも直結する酒種であるかがわかるはずです。

たとえば、クラシックなデザインを採用したラベルなら、味わいはクラシカルなしっとりとしたものが多く、モダンでスタイリッシュなラベルのワインは、合理的でスキッとした味わいであるなどの特徴があります。造り手のセンスの見せどころであり、遊び心を発揮できるのもラベルの大きな魅力です。このため、どれにしようか迷ってしまったときほど、ラベルを見て「ジャケ買い」してみてください。「これがいいな」「おいしそうだな」と素直に感じたものをセレクトし、自宅でゆっくりとラベルの情報を紐解いてみましょう。そんな上質な大人の楽しみ方もワインならではのたしなみです。

フランスワイン、ブルゴーニュは、ラベルひとつで幅広く奥深い楽しみ方ができます。知れば知るほど、面白さが増して、ますますハマってしまうはずです。ぜひラベルの読み方から、さらなる深い一歩を踏み出してみてください。



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