現在、世界各地で日本人醸造家が活躍しています。日本人らしいこだわりと細やかな手仕事、ワインに対する情熱で、多くの魅力あるワインを生み出しているのです。
今回はそんな中でも、世界から高く評価される醸造家5人と彼らが作るワインを紹介します。
「大岡弘武」ル・カノングランド・コリーヌ
フランスのローヌ地方で活躍する自然醸造家の大岡弘武氏は、ボルドー大学で醸造を学び有名な生産家で働いた後に独立しました。ル・カノングランド・コリーヌは肩ひじを張らず気軽にワインを楽しんでほしいという大岡氏の想いがこもった赤ワインです。大岡氏のその想いはTV番組でも取り上げられ、話題となりました。キャップシールがなく、瓶からコルクが打栓されたままの状態で気軽に手に取れ、フレッシュでデリケートな味を堪能できます。赤ワインですが、冷やして飲むことで酸味もいっしょに楽しめるのが魅力のひとつです。開栓後一日経つと赤ワインとしてのおいしさがより一層増すでしょう。
「篠原麗雄」クロ・レオ
新進気鋭の日本人醸造家として評される篠原麗雄氏はフランス・ボルドー地方で活躍しています。ボルドー最高峰ヴァランドローのテュヌヴァン氏とオーゾンヌのヴォーティエ氏より学んだワイン造りのノウハウで、世界に通用する高品質のワインを作り上げています。幻のワインと呼ばれるクロ・レオは年間900本しか生産されない貴重なものです。奥深い香りと、上品な味わいは十分に空気に触れさせることでより、柔らかい味へと変化していきます。化学肥料や農薬をほとんど使わず、手間暇をかけて手で収穫されるブドウは一本の木に6房程度しか実を残さないともいわれています。醸造前の選果も手で粒選びをするという徹底したプロセスが生むワインは、複雑で厚みのある貴重なものとして知られています。
「仲田晃司」ルー・デュモン
フランス・ブルゴーニュ地方で、実直にワイン作りに励むのが仲田晃司氏です。職人気質のまっすぐなワイン作りは、正統派のブルゴーニュで精細な味わいを生み出しています。そんな彼が作るルー・デュモンは、ラベルに「天地人」と書かれており、ワインは天候と土壌と人によって育まれるという理念が記されています。全身全霊でワインを作るために一年間に作るワインの量を70樽と制限し、すべての樽の状態を把握。ただただ高品質のワインを作るために情熱を傾ける姿勢は世界でも高く評価されています。また、高級であることを目指すのでなく多くの人においしいと感じてもらうために、価格が抑えられているのも人気の要因といえるでしょう。
「中井章恵」メルロー ロシアンリバーヴァレー
中井章恵氏が1980年にカリフォルニアに設立したナカイ・ヴィンヤードは、日本人が経営する海外ワイナリーの先駆け的存在です。研究熱心な中井氏が、毎年高品質なワインを作り続けたことで現地の醸造家からも支持され、確固たる地位を築いています。そんな彼が作るメルローロシアンリバーヴァレーは、スムーズな口当たりにまろやかなコク、しっかりとした酸味が高い評価を得ています。日本人の好む味に仕上がっており、ラベルも和風で全体のバランスが取れたワインです。高品質でありながら手ごろな価格で手に入る点も魅力です。
「中村倫久」ノリア
もともとホテルマンだった中村氏は、海外でのワイナリー巡りでワインに魅了され醸造家を志しました。2010年にナカムラ・セラーズを設立し、和食にあうワインを作り続けています。厚みのあるワインを作るにはカリフォルニアの気候は条件がそろっているものの、繊細さに欠けるところがありました。その点を、シャルドネとピノノワールという2品種に絞り見事に克服、繊細で深みのあるワインを完成させました。ノリアは透明感のある繊細さと、しっかりと芯のある味わいで日本人が作る日本人好みの味として完成されています。バランスのいい香りと深みで、和食を引き立てるワインとしての地位を確立しました。
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