近年、革新的に美味しくなっていると評価が固まっているのが、カナダワインです。
そんなカナダワインについての魅力を私ジェイミーがお伝えします。
第1回目の今日はカナダワイン全体の産地と、ブリティッシュコロンビア州の5つの産地をご紹介します。
意外と知らないカナダのワインのトリビア
カナダが“ワインの国”というイメージをお持ちの方は、それほど多くないのではと思いますが、実はそのテロワールのために世界中から醸造家が移住してくるほど素晴らしい環境に恵まれたワイン産地が存在します。
カナダは“寒い国”という印象が強く、「ブドウを育てるのには寒すぎるのでは?」というご質問もよくお受けします。右図は、オンタリオ州ナイアガラの年間気温の推移を、世界の他の主要ワイン産地と比べたものですが、ナイアガラ(赤線)に注目してみると、冬は-10°C以下と飛びぬけて気温が低いものの、ブドウ育成期である6月~9月には、実は世界の多くの主要ワイン産地よりも気温が高くなることが分かります。
ヨーロッパの冷涼産地とほぼ同緯度に位置し、ブドウ栽培に最適な環境
積算成長度日は 1400 以上(例:仏ブルゴーニュ・ボーヌ地方 1315)
夏の日中の気温は 30°C以上(砂漠地方に属するオカナガンでは 40°C以上になる日も!)
多様な土壌!石灰岩、堆積岩など
カナダの主要産地
カナダのワイン産地は、ヨーロッパの多くの冷涼産地と同様、北緯30-50度に位置しています。
主要ワイン産地は、オンタリオ州南部のナイアガ ラ半島と、ブリティッシュ・コロンビア州南部のオカナガン渓谷。その他、これら二つの州にいくつかの産地があるほか、ケベック州とノバスコシア 州にもやや小規模の産地が点在します。
カナダのワイン産業は、他のワイン産出国と比較すると小規模ながら成長著しく、ブドウ栽培に適した土 壌と気候条件の揃った地域では、新しいワイナリーが次々と生まれています。
カナダのワイン産業はここ数十年に渡りルネサンス期を迎えており、 ブリティッシュ・コロンビア州のオカナガン渓谷に隣接するシミルカミーン渓谷や、オンタリオ州のエリー湖北岸、プリンス・エドワード・カウンティ等でも 上質なワインが生産されています。カナダ国内のワイン産地の面積は、全体で29,500エーカー(11,950ヘクタール)、501のワイナリーがあります。
ブリティッシュコロンビア州 ~British Columbia~
ブリティッシュコロンビア州(BC 州)は、オンタリオ州と並び、カナダで最もワイン生産が 盛んな州の一つです。
州内のワイン産地は、北緯 49°付近に点在します。北半球の産地の多くは北緯 30°~50°の間に位置しますので、緯度的には北限に近いといえます。
ブドウ栽培に は厳しそうな環境に思えますが、BC 州の産地は、育成期の気候は温暖で、また高緯 度なため育成期の日照時間が非常に長く、より強い日照を享受します。育成期間は 短めですが、それでもしっかりブドウが熟すことのできる条件が整っているのです。
BC 州の産地は南北に長かったり、島にあったりと、様々な条件の産地があるため、それぞれの特色を活かして、世界の産地でも稀なほど多様な品種・ スタイルのワインが造られています。全般的な特徴としては、冷涼産地特有のクリーンな果実味とのびやかな酸味のあるワインが多く造られますが、例え ば、主要産地であるオカナガン渓谷やシミルカミーン渓谷が位置するあたりは、カナダ国内唯一の砂漠地帯であるため、南部では夏の日中の最高気温 が 40°Cに達する日もあるほど暑くなる場所もあり、このような地域ではより力強さのあるワインも造られています。
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BC州の主要品種
赤:メルロー、カベルネソーヴィニヨン、カベルネフラン、シラー(シラーズ)、ピノノワール
白:ピノグリ、シャルドネ、リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ソーヴィニヨンブラン
BVQA
「VQA (Vintners Quality Alliance)」という BC 州独自のワインの品質管理協定システムがあり、ワインの品質を保っています。VQA ワインと
認められるのは、BC 産のブドウを 100%使って造られるワインのみ。場所や土壌の特徴によって、5 つの産地(アペラシオン)に分かれています。
ブリティッシュコロンビア州の 5つのワイン産地
(1)オカナガン渓谷 ― Okanagan Valley
BC 州最大の産地で、オンタリオ州ナイアガラと並ぶ、カナダを代表する産地。バンクーバーから約 400 kmほど内陸に入ったあたりに位置。カナダ唯一の砂漠地 帯に位置し、南北約 135km にのびるオカナガン湖を中心に、東西を高い山に囲まれた渓谷で、南部では夏の日中の気温が 40°Cに達するほど暑くなります が、北部ではよりマイルドな気候。様々な個性のあるワインが造られています。 輝く湖を見下ろすなだらかな斜面に広がるブドウ畑の風景は、「世界でもっとも 美しいワイン産地」(インタネット新聞 The Huffington Post)と評されるほどの景勝地として知られています。
(2)シミルカミーン渓谷 ― Similkameen Valley
オカナガン渓谷に隣接するシミルカミーン渓谷は、急斜面の山 に囲まれた細長い渓谷。
岩の多い山肌から放出される熱の効果で、日没後も高い気温に保たれます。土壌は、石や砂 利が多く混じった、シルト質(粘性土)のローム層が中心。
メルロー、ガメイ、ピノノワール、カベルネソーヴィニヨン、カベルネ フラン、シャルドネ、ピノブラン、ピノグリを中心に、リースリングや ゲヴュルツトラミネールも造られます。
(3)フレーザー渓谷 ― Fraser Valley
バンクーバーから車で1時間ほど内陸へ入ったラングリー南部、アメリカとの国境付近のエリア。大部分は平野で、7・8月は灌漑を必要とするほど乾燥します。土壌はシルト質が多く、オーガニックの農園も多数あります。
主にシャルドネ、ピノノワール、ドイツ系白ワイン品種等が栽培されています。
(4)バンクーバー島 ― Vancouver Island
バンクーバーの西の沖、バンクーバー島でもワイン造りが行われており、ダンカン近くのカウイチャン渓谷、ナナイモ付近、サーニッチ半島、ビクトリア近辺などの島 南部にワイナリーが点在します。
11月から 4月にかけては降水量の多い地方ですが、夏は非常に乾燥し、灌漑が必要となります。
ピノノワール、ガメイノワール、オルテガ、 ミュラートゥルガウ、ゲヴェルツトラミネール等が栽培される他、オカナガン渓谷産のブドウを使う造り手もあります。
(5)ガルフ諸島 ― Gulf Islands
ガルフ諸島は、BC 州の太平洋沿岸とバンクーバー島の間にある、ジョージア海峡に点在する島々。ジョージア海峡付近はマイルドな気候で、1800年代後半 から始まった果樹や園芸栽培が盛ん。近年ではブドウ農園やワイナリーも増えています。
ソルトスプリング島やガブリオラ島、ペンダー島、サトゥーナ島、クアドラ島、 ボウエン島等にて、ピノノワールやピノグリ、ゲヴェルツトラミネール、リースリング、シャルドネ等が栽培されています。
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