〜 おとなの恋の物語 〜
「その時、二人がどんな関係になっていたとしても… 十年後、一緒にこのワインを開けよう。」
彼女が手渡されたのは、北イタリアのチャーミングなピノネーロ。
エチケットの繊細な水彩画は、いつ壊れるかもわからない儚い二人の関係を映し出していた。
おとなの恋は、せつない。主役は「ふたり」でも、登場人物は「ふたり」だけではなくなるから。
これまで、別々の人生を歩いてきたのだから仕方のないこと。
それなのに「好き」という気持ちは、若いころよりピュアになる。
ワインも似ている。
熟成すると妖艶さを増すが、晩年はピュアな味わいに変わって行く。
これも、ワインが生きていて時に魔性と言われる秘密なのかもしれない。
彼にとって、そのワインは「願い」であり彼女はその「想い」を受け取った。
それから十年後… ふたりは約束通り一緒にワインを開けた。
テラスの見える小さなクッチーナ
ふたりの記念日に、セラーに眠る天使「Angel」をそっと目覚めさせて☆
‘Red Angel on the moonlight’ 2004
truffle, porcini, raspberry, cinnamon, cacao