製法の厳格な規律を持つ伝統的なヨーロッパのワインとは一味違った「ニューワールド」と呼ばれる地域のワインが人気を集めています。アメリカもこの「ニューワールド」の一つです。
アメリカワインの特徴
規律に捉われることなく比較的自由に造られるワインは、アメリカの気候で育つ果実味のあるブドウと相まって多くの人々の心を捉えています。カジュアルな値段のテーブルワインから長期熟成型の高級ワインまで、様々なワインが作られるアメリカは、フランス・イタリア・スペインに次ぐ世界第4位のワイン生産国です。
国内産地の紹介
アメリカ大陸の持つ地形や地質、気候の多様性がブドウの成長に良い影響をもたらす背景もあり、アメリカでは全ての州でワイン造りが行われています。その生産量の95%がわずか4つの州から産出されています。その主な州はカリフォルニア、ワシントン、オレゴン、ニューヨークです。なかでもカリフォルニア州では、その他3州で造られるワインの約5倍に当たる生産量を誇ります。アメリカで最も主要な生産地域なのです。
カリフォルニア州とワインの特色
アメリカ最大のワイン生産地であるカリフォルニア州では、主にカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネ野葡萄が栽培されています。同じブドウ品種でも、カリフォルニアはワインの伝統国であるフランス等に比べて気温も高いため、完熟味のある豊かな味わいが特徴です。同じ品種のブドウで比べても糖度が高く、酸味もやわらかいワインが造られます。
カリフォルニアは広大な地域ですので、さらに生産地が分かれています。なかでも、ナパバレーやソノマは世界的に人気のある地域でもあり、高級ワインも多く造られています。
ナパバレーでは、カベルネ・ソーヴィニヨンが広く栽培されています。作付面積は狭いですが、黒ブドウのジンファンデルも重要な品種の一つです。ジンファンデルからは力強い果実味と酸味のバランスの良いワインが造られます。ちなみに、白ブドウは主にソーヴィニヨン・ブランやシャルドネが栽培されています。
ソノマもナパバレーに次ぐワインの銘醸地です。カベルネ・ソーヴィニヨンやジンファンデルなどから造られる赤ワインや、熟したシャルドネから造られるオーク樽の香りのする白ワインがよく知られています。
ワシントン州とワインの特色
太平洋岸北西部に位置するワシントン州は、オレゴン州のすぐ北側にあります。ワイン造りの歴史は浅いのですが、カリフォルニア州に次いでワインの生産量が多い州です。
西側の涼しく湿度の高い地域で造られるブドウもありますが、ほとんどのワインが砂漠地帯に似た高温の東部地域で造られています。カスケード山脈を境に東部地域のコロンビア川流域は大陸性気候となり、年間降水雨量はわずか200ミリメートルほどしかないので、灌漑によってブドウを栽培しています。
ワシントン州の1日の日照時間は平均17時間とカリフォルニア州よりも約2時間長く、1日の内での寒暖差も大きいので、適度な酸味を持ちつつも円熟味のあるブドウが育ちます。この地域では黒ブドウはメルローやカベルネ・ソーヴィニヨン・シラー、白ブドウはシャルドネやリースリング等が多く栽培されていますが、その他にもさまざまな種類のブドウが栽培されています。
アメリカワインでヨーロッパとは違った魅力を
ワインの造り方、使用するブドウの品種等、様々な規律に従い伝統を守りながら造られてきたヨーロッパのワインも魅力的ですが、純粋に美味しいワインを求めて自由なスタイルで作られたニューワールドのワインも新しいワインの魅力を引き出してくれます。
あわせて読みたい