一般的にブドウの栽培は、北緯45度くらいまでで行われることが多いのですが、ヨーロッパのワイン産地の北に位置するドイツでは、北緯47度から52度あたりでブドウ栽培を行っています。
ドイツワインの特徴
ドイツワインはその冷涼な気候によって、さわやかな酸味と香りを持つアルコール度の低いワインが多く作られます。ひと昔前までは、ドイツといえば甘口の白ワインがほとんどだったのですが、近年では上質の辛口の白ワインや赤ワインも生産量が増えています。ドイツワインは、その細い形のボトルも特徴の一つです。
国内産地の紹介
ドイツ国内には、限定生産地域と呼ばれる13のワイン生産地域があります。その中で、地区、畑と区分が分かれています。畑はさらに、複合畑、単一畑、特別単一畑(オルツタイルラーゲ)と区分され、オルツタイルラーゲに分類される畑は、国内で5つのみです。13のワイン生産地域は、アール、モーゼル、ナーエ、ラインヘッセン、ファルツ、ミッテルライン、ラインガウ、ヘッシェ・ベルクシュトラーセ、バーデン、フランケン、ヴェルテムベルク、ザーレ・ウンストルート、ザクセンです。
モーゼルとワインの特色
モーゼルはモーゼル川、ザール川、ルーヴァー川流域に広がるワイン産地です。モーゼル川は全長550キロにも及びます。南北に流れる川なので、北と南ではワインのタイプが少し異なりますが、全体的に著名なワイナリーがひしめく銘醸地です。特別単一畑(オルツタイルラーゲ)も存在します。作られているブドウの半分以上はリースリングで、生産量の90%が白ワインです。とてもフルーティで香り豊かな白ワインが生産されています。
ラインガウとワインの特色
モーゼルと並んで銘醸地として有名なのがラインガウです。ライン川北岸とマイン川河口近くに位置する場所です。ドイツ国内に5つしかない特別単一畑(オルツタイルラーゲ)のうちの4つがラインガウにあります。エレガントでフルーティな気品のある高級ワインが作られ、そのワインは「優雅な貴婦人」と例えられることもあります。
ラインヘッセンとワインの特色
ドイツ最大の栽培面積を誇るのがラインヘッセンです。白ブドウのシルヴァーナーは世界で一番多く栽培されています。なだらかな丘陵地帯である、やわらかでまろやかな味わいの、果実実が豊かなワイン作られます。
アールとワインの特色
アール川沿いの急勾配の斜面にあるワイン産地です。ドイツではめずらしく、この地域では主に赤ワインが生産されています。シュペートブルグンダー(ドイツ以外ではピノノワールと呼ばれる)で作られるワインが半分以上を占めており、明るい色味と飲みやすさが特徴です。
ミッテルラインとワインの特色
アールの北の端からライン川を隔てて対岸、ライン川の両岸に約100キロほどにわたって広がる地域です。リースリングの栽培量がラインガウに次いで高く、高品質のワインを生産しています。こちらのワインは地元で消費されることが多く、この地域以外で見かけることはあまり多くありません。
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strong>フランケンとワインの特色
マイン川とその支流の両岸に広がる地域です。ミュラートゥルガウやシルヴァーナーから作られる、辛口白ワインが多く作られます。ボックス・ボテイル型と呼ばれる、ずんぐりと丸みを帯びた形のボトルが特徴です。
ドイツワインの魅力は気品さ
ドイツはその冷涼な気候から、他の地域にはないさわやかな酸味や気品溢れるアロマを持つワインが多く生産されます。ほとんどのワインがEUのワイン法の指定地域優良ワイン(V.Q.P.R.D.ワイン)に認定されていることから、とても高品質なワインがたくさん作られる国と言えます。
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