オーストリアは、ドイツと国境を接するためワインのタイプもドイツと類似点が多い産地です。ただ、オーストリアのほうが少し南に位置し、緯度はフランスのブルゴーニュとだいたい同じ北緯47~48度です。そのため、ドイツよりワインの味わいにボリューム感があり、フルボディの赤ワインが作られています。
オーストリアワインの特徴
オーストリア固有のブドウ品種には、白ブドウのグリューナー・フェルトリナーやノイブルガーが有名です。グリューナー・フェルトリナーは、オーストリアで最もたくさん栽培されている品種です。このブドウを使い、貴腐ワインも作られます。
オーストリアの有名なワインは、ホイリゲと呼ばれるものがあります。これは、フランスではヌーヴォーとして知られるものと同じく「新酒」という意味で、特定のワインの名前というわけではありません。また、シュトルムと呼ばれる白濁した微発泡のワインを飲む習慣もあります。
オーストリアのワイン法は4段階に分かれています。格が高い順に、プレディカーツヴァイン、クヴァリテーツヴァイン、ラントヴァイン、ターフェルヴァインとなります。ブドウ栽培地区の表記が認められているのは、プレディカーツヴァインとクヴァリテーツヴァインのみです。プレディカーツヴァインは、さらに6つの格付けで分類されます。
世界的に有名なワイングラスメーカーであるリーデル社は、オーストリアに本社と本社工場があり、ハンドメイドのグラスは日本でも有名です。
国内産地の紹介
オーストリアの主要なワイン産地は国の東部に集中しており、大きく分けて4つの地域に分かれます。ニーダーエスタライヒ州、ブルゲンラント州、シュタイヤーマルク州、ウィーンです。
ニーダーエスタライヒ州とワインの特色
ニーダーエスタライヒ州は、ウィーンのワイン生産地帯の北部に位置する州です。この地方で国全体のワインの約60%を生産しています。グリューナー・フェルトリナーやリースリングから作られる白ワインが高評価を得ています。
有名な産地に、ヴァッハウがあります。州の西部に位置します。この地域で作られるワインのほとんどが白ワインです。ブドウの生産者たちが、品質を守るため独自で協会を作り、独自の格付けを行っています。
ブルゲンラント州とワインの特色
南東部に位置し、ハンガリーと国境を接する州です。ブラウンフレンキッシュ種から作られる赤ワインの生産量が多い地域です。ノイジードラーゼーという地区では優れた赤ワインの生産に加え、高級な貴腐ワインの生産も盛んです。
シュタイヤーマルク州とワインの特色
オーストリアのワイン産地で最も南に位置する地域で、スロヴェニアと国境を接しています。生産されるワインのほとんどが白ワインで、その大半が国内で消費されます。ソーヴィニヨン・ブランが主要品種として栽培されている地域もあります。
ウィーンとワインの特色
ホイリゲと呼ばれる、オーストリアの新酒が有名です。また、ホイリゲを提供するワイン酒場も同じくホイリゲと呼ばれ、軽食とともに新酒のワインを楽しむ習慣があります。ホイリゲは主に、グリューナー・フェルトリナー、ノイブルガー、ヴァイスブルグンダー、ミュラートゥルガウから作られます。
オーストリアワインの魅力は日本食にも合う親しみやすさ
オーストリアでは質の高い白ワインがたくさん作られています。私たちがふだん口にすることが多い日本食の繊細な味とも、マッチするワインがたくさんあります。日本で目にする機会はまだ少ないですが、徐々に増えていくのではないでしょうか?機会があれば、ぜひ日本食とともに味わってみてください。
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