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【第2回】ニュージーランドワインの旅は、空からはじまる!

神原博之
神原博之

 

ニュージーランド航空で、快適なワインの旅を。

いきなりですが、ニュージーランドといって、イメージするものは何ですか?

「人口の十倍、羊がいる国」
「キウイフルーツをたくさん生産している国」
「ラグビーが強い国」
「ハリウッド映画がよく撮影されている国」

はい、どれも正解です。ですが、僕はこう思っています。
「美味しいワインが飲める国!」

もしかしたら、前回のコラムを読んでくださった方で、「ニュージーランドに行ってみたい!」と、思ってくれた人がいるのでは?
そんな淡い期待を持ちつつ、今回はニュージーランドワインを楽しむ旅の醍醐味を紹介していきます。

 

「ニュージーランドワインの旅は、空からはじまる!」

これが僕の持論であり、楽しみ方でもあります。
日本から、およそ9000キロ離れた南半球のオセアニアに位置するニュージーランド。
「日本から、直行便はあるの?」「成田から、何時間で着くの?」
こんな質問をよく受けるのですが、ニュージーランド航空の直行便で約10時間半、ニュージーランド最大の都市、オークランドに到着します。


http://www.airnewzealand.jp/(ニュージーランド航空公式サイト)

「えー、10時間半もかかるの!?」
そんな声が聞こえてきそうですが、安心してください。
夕方に成田を出発して、翌日の朝オークランドに着く「オーバーナイト便」があるので、夜に出される機内食を食べて寝てしまえば、あっという間に到着です。

さっそく機内に乗り込み、ひと息ついてからの楽しみとは?
「どんな新作映画が観られるかな」
「とりあえず、機内誌をひと通り流し読みしよう」
「ニュージーランドの旅行雑誌でグルメチェックでしょ!」
など……。
往路の機内は旅のはじまり、なんだかとってもワクワクした気持ちになりますよね。
そんななか、僕は決まってあることをします。
それは、機内サービスで飲めるニュージーランドワインをかたっぱしから注文するのです!
だって、それらはすべて無料。つまり、僕たちが支払った航空券代に含まれた“極上のウェルカムドリンク”というわけです。
まずは優雅に、ニュージーランドのスパークリングワインで乾杯というのもいいかもしれませんね。ひとり旅なら、心のなかで(これからはじまる旅に乾杯!)といきましょう。

そこから機内食が提供されるまで、スパークリングワイン→白ワイン→ロゼワイン→赤ワインと、ひと通りのワインを楽しむのが僕の流儀です。
気の利いたCAさんは、おつまみを用意してくれることもあります。
また、CAさんがドリンクワゴンを押していたら、迷わずこういいましょう。
Could I have all of wine please?」(そこにあるワイン、全部いただけますか?)
さらに、こう付け加えられたら、たいしたものです。
Because, I do love New Zealand wine!」(だって、ニュージーランドワインがとっても好きなんだ)

こんなことを書くと、「さすがにそれは……」と、遠慮しがちなのが日本人の悪い癖ですが、よくよく考えてみてください。
ニュージーランド航空のCAさんは、ほとんどがニュージーランド人。彼女(彼)たちにとって外国の人、つまりは僕たち日本人が自分の国のワインをこんなにも好きでいてくれているなんて、ぜったいに嬉しいに決まっています。もし、外国の方が「日本酒がとても大好きなんだ」といってきたら、僕たち日本人はちょっと嬉しい気持ちになる。それと一緒です。

それでも、「さすがにその注文の仕方はハードルが高すぎる」、「自分のペースでゆっくり注文して飲みたい」といった方に朗報です。2014年からニュージーランド航空では、どの航空会社よりもはやく、ボーイング社の最新機種「ボーイン787-9型機」を採用しました。その最たる特徴が、パーソナルモニターがタッチパネル式になり、これで食べ物やドリンクも気軽に注文できるようになったことです。


もちろん、ワインも何度でも無料で注文することができます。(安定飛行中のみ)
これなら、ちょっと引っ込み思案な方でも指先ひとつでワインを楽しむことができるはずです。


美味しいワインを飲んで、ゆったりと夢ごこちの時間を過ごす。これこそが、「ニュージーランドワインの旅は、空からはじまる」という、幸せな経験学習ではないでしょうか。

ふと目が覚めると、いよいよ空も明るくなってきました。
ということは、間もなくニュージーランドに到着です!

 

オークランド空港から、ワインの名産地「ホークス・ベイ地区」へ

オークランド空港に到着すれば、さらにワクワク感が高まってきて、その足取りもついつい闊歩してしまうのではないでしょうか。
ですが、はじめてニュージーランドに足を踏み入れる方には、ぜひ気をつけてもらいたいことがいくつかあります。それは、税関でニュージーランド国内に持ち込んではいけないものが厳しくチェックされるということ。それは主に、食品や動植物です。

・乳性製品全般・卵製品全般(カップ麺に含まれる卵の加工品も含む)
・食肉を含む肉製品
・漢方薬用の乾燥した動物の部位
・ハチミツ、プロポリス製品
・植物、花、種や球根
・鳥類、魚類、亀を含む動物など

詳しくは、こちらのサイトでチェックしてくださいね。→ニュージーランド大使館公式サイト

また、たばこを吸う人もいるかと思いますが、2014年11月から持ち込めるタバコの免税範囲は紙巻きたばこであれば50本となりました。つまり、成田空港の免税店で1カートン(200本)買っても持ち込むことはできません。(もしかすると、免税店で行先を告げると売ってもらえないかも……)
では、免税範囲を超えた場合の課税はいくらかというと、1カートンを持ちこむ場合、NZ$97.00+GSTの関税が課税されるので、およそ9000円支払う覚悟が必要です。(ちなみに、ニュージーランド国内でたばこを買うと、種類にもよりますが1箱20ドル前後、約1500円はしますのであしからず)


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では、さっそく本題に入りましょう。
税関を潜り抜ければ、そこからニュージーランドワインの旅は本格的にはじまるわけですが、行動パターンとして、次のふた通りが考えられます。

1.一度シティへ出て、オークランド近郊のワイナリーを巡る
2.そのまま国内線を乗り継いで、ワインの名産地へひとっ飛びする

「1」については、今後のコラムでしっかりご紹介するとして、今回は「2」のパターンでご案内します。
オークランド空港のいいところのひとつに、国際線と国内線が隣接していることが挙げられます。なので、日本でいう成田から羽田に移動して国内移動するという手間が省けるので、時間とお金を大幅に節約できます。しかも、国際線と国内線のターミナルを無料のシャトルバスが10分間隔で走っているので、それに乗り込んでしまえば大きなスーツケースを持っていても移動は楽々です。

それでは、今回の目的地の発表とまいりましょう。ニュージーランドワインの生産量第二位、北島のホークス・ベイ地区です。
オークランド空港からの所要時間わずか1時間という、アクセス抜群なワインの名産地です。ちなみに、ホークス・ベイというのは地区の名前であり、空港名は「ネイピア空港」といいます。くれぐれもお間違いなく。
国内線の、ちょっとだけ“スリム”な飛行機に乗り込むと、寝る間もなくあっという間に到着。こちらが、ネイピア空港です。

飛行機を降りて空港のなかを歩いていると、足もとにはこんなオブジェが埋め込まれています。さすがは、ワインの町!(笑)

ワイナリー巡りが目的でネイピア空港に降り立ったら、まずはレンタカーを予約しましょう。なぜなら、ホークス・ベイ地区の移動手段は主に車しかないからです。といっても、ほんとうに小さな町なので、ロングドライブが大変ということはまずありません。ちなみに、ここである疑問が浮かんだ人は、なかなか鋭いかもしれません。
それは、「ワイナリー巡りするのに、レンタカーを借りるの!?」ということ。
はい。たしかに日本では、たとえ一滴でもお酒を飲めば、車を運転してはいけませんよね。でも、ニュージーランドの法律はちょっと違います。

スタンダード・ドリンク」という基準があって、次の量以下であれば車を運転することができるのです。

・アルコール度数4% 330mlの缶ビール1本
・アルコール度数12.5% 100mlのワイン1杯
・アルコール度数40% 30mlのショット1杯

とはいえ、やはりその日の体調や個人差があるので、ワイナリーでのテイスティングでは「舌で転がして風味を愉しみ、飲み込まない」というのが、僕のスタイルです。
もちろん、飲まないドライバーがひとりいれば別ですが、どうしても自分で運転しなければならないときは、軽くテイスティングして美味しいと思ったワインは買って、ホテルに戻ってからゆっくりと楽しんでください。


ニュージーランドで、もっとも古いワイナリーを訪ねてみる

ネイピア空港でレンタカーを借り、しばらく車を走らせれば、こんな風景が広がってきます。

これぞ、ニュージーランドとでもいいましょうか。

そして何はともあれ、まず訪れてほしいのが、こちらのワイナリーです。

ミッション・エステート・ワイナリー
このワイナリーは、ニュージーランド最古のワイナリー、すなわちニュージーランドワインの発祥の地ということになります。
もちろん、ただ歴史があるだけではありません。
ここで造られているワインは、現在でも常にニュージーランド国内外で高い評価を得ています。

このワイナリーの歴史を軽く紐解くと、以前は地域のコミュニティスペースでした。昔のコミュニティとは、この写真からもわかるとおり、教会だったのです。なので、ここで最初にブドウの樹が植えられたのも、礼拝用としてのワイン、そして日常的にここに集まった人たちが飲むためのワインを造る目的だったというわけです。

いまからおよそ150年前、ここにつどい合わせた人たちがワインを片手に、どんな会話に花を咲かせていたのでしょうか。
ただ、そんなことを想像するだけでも、古きよき時代への郷愁にかられるのは僕だけでしょうか。もちろん、いまでもここでは結婚式がおこなわれることがあり、多くのニュージーランド人にとっての「ウェディング・ステイタス」になっています。


このワイナリーで大事に保存されているボトルにも、深い歴史を感じます


そして建物の裏手には、広いヴィンヤード(ブドウ畑)が見渡せるようになっています。

ニュージーランドでは、ちょうどいまの3月がブドウの収穫シーズン真っ盛りです。
さて、社会科見学もそこそこに、さっそくワイナリーにあるレストランでワインと食事を楽しみましょう。


こんな開放的なテラス席があるレストランだったら、何を食べても飲んでも美味しいそう。そんな声が聞こえてきそうですね。
でも、ほんとうにそのとおりです!


こちらは、ニュージーランドでは知らない人はいない、「ブラフ・オイスター」です。
ニュージーランド最南端の町、ブラフで獲れるのが名前の由来です。このブラフ・オイスターは、乱獲防止のため毎年の収穫量が制限されており、だいたい3月いっぱいしか食べることができない希少なオイスターなのです。
味は、日本の牡蠣と比べてクセが少なく、コクがあってまろやか、そしてとろけるような食感が特徴です。僕は、このオイスターが世界でもっとも美味しいオイスターとさえ思っているのですが、ちょっと辛口のスパークリングワインとの相性がバッチリです。


そしてこちらは、そのブラフ・オイスターのフリット。
フリットにすることで、より濃厚なオイスター独自の旨みを引き出しています。付け合せにしてはゴージャスな、ポークミルフィーユがお得な気分にさせてくれます。


バケットもこんなにオシャレ。
付け合せは、レバーペーストとカボチャのペースト。


こちらは、ニュージーランドではメジャーな「フィッシュ&チップス」。
ニュージーランドではファストフードの代名詞ですが、ワイナリーで食べるとまた、オシャレな気がします。


そして、今回ご紹介するワインはこちらのシャルドネです。

というのも、ここホークス・ベイ地区はシャルドネの名産地でもあり、ニュージーランドワインのシャルドネ生産量第一位なのです。
このワインは、「ジュウェルストーン」というリザーヴシリーズのワインで、使われているブドウはすべて手摘み、フレンチオークの樽で10カ月熟成した極上ワインです。シトラスとトロピカルフルーツを凝縮したエレガントなフレーバーが口のなかいっぱいに広がります。



こんなふうに、食とワインのマリアージュを楽しむのが、ワイナリー巡りの醍醐味ではないでしょうか。
次回のコラムでは、せっかくなのでこのホークス・ベイ地区で、ぜひとも訪れていただきたいワイナリーをいくつか厳選して、ご紹介したいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。



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