少し前の話になりますが、5月末にサンフランシスコで「West of West SF Wine tasting」が行われました。
West of Westとはソノマ・コースト(西ソノマ)のみにフォーカスした試飲会。ソノマの中でも海沿いが熱い!
ソノマ・カウンティというと一括りにされがちですが、山谷が多い地形であることから、地域によってずいぶん気候が異なります。
その中でもソノマ・コーストは、寒流の影響や雨が多いことから最も冷涼な地域。
ぶどうがよく育つ夏季は、朝から昼にかけて充分に太陽が当たり、夕方に太平洋側から流れ込む霧によって冷やされます。
上質なブドウ作りには理想的なコンディションからもおわかりのように、カリフォルニアワインの中でも、より繊細なブルゴーニュ的ピノ・ノワールとシャルドネが多く産出されています。
近年では、より霧の影響を受けにくい高地に畑をつくるワイナリーも増え、カリフォルニアのグランクリュとの呼び声も高く注目を集めるようになってきています。
今回は、「ブルピノ好き」にも胸を張ってお勧めしたい、ソノマ・コーストのワイナリー3軒をご紹介します。
日本人ワインメーカーとエド・カーツマンによって生み出される優美なピノ・ノワール
ケン・フリーマン氏と奥様のアキコさんによって設立されたワイナリー。
ワインメーカーのエド・カーツマン氏を迎え、有機農業にこだわりワイン造りをしている。
ブルゴーニュスタイルを追求し、フレッシュな酸とバランスが取れたエレガントなフレーバーが特徴的。
2015年に、安倍晋三首相を招いて行われたホワイトハウス晩餐会で振る舞われたシャルドネ<涼風>はもちろん、アキコさんのブレンドAkiko’s Cuveも人気で、サンフランシスコ近辺の著名なレストランでもオンリストされている。
ワイン評論家マット・クレイマー氏に「カリフォルニア3大グランクリュ」と評価されたワイナリー
ソノマ・コーストの中でも、最も太平洋に近い場所に位置するフォートロス・シービューを拠点にワイン造りをするHIRSCH VINEYARDS。
元々は、「Kistler Vineyards」「Williams Selyem」「Flowers」などのトップワイナリーにブドウを供給してきたが、2002年に自社ワイナリーを設立。
前述の「FREEMAN」同様、冷涼な土地柄を感じさせるミネラル感のある酸味に加え、複雑味とタンニンも感じられ、セラーでの熟成も期待できそう。
「カリフォルニアのラ・ターシュ」とヘレン・ターリーのお墨付き、PAHLMEYERの自社畑から生まれたブランド
「PAHLMEYER」が満を持してリリースしたニューブランド。
カリフォルニアのワインメーカー女王と呼ばれるヘレン・ターリー(元「PAHLMEYER」のワインメーカー)の助言により、最高級のワインを産み出すとされた、ソノマ・コーストのゴールド・リッジ土壌に注目した。
樹齢や品種によって細かな区画に細分化された栽培、日照量順に計算された収穫、ナイトハーベストの実施など、きめ細やかな管理が行き届いている。
生き生きとしたピュアな酸とシルキーな舌触りに加え、黒果実のニュアンス、アルコール度数14.5-15%と力強さも充分。
こちらも10年以上の熟成が楽しめそう。
エレガント志向がモダン・カリフォルニアワイン
ボトルを開けた瞬間から香りが開き、飲みやすいのがカリフォルニアワインの良いところですが、一方で「こってり重すぎる」「果実味が強すぎて料理に合わせづらい」と考えるワインラヴァーがアメリカ国内でも増えてきています。
そういったことからも、カリフォルニアらしさも生かしつつ、ブルゴーニュスタイルのエレガントで繊細なピノ・ノワールが好まれるようになってきているのです。
高品質ながらも知名度的にはこれから、ポテンシャルを秘めたソノマ・コーストのピノ。
今のうちにセラーに1本ストックしてみてはいかがですか?
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