2016年4月27日のブルゴーニュ全域での降霜の状況について、マスター・オブ・ワイン(MW)のジャスパー・モリス氏(以下、モリス氏)の現地レポートが届いています。
ブルゴーニュを襲った霜の被害状況
4月27日、ブルゴーニュからロワールにいたるフランス北部全域に霜が降り注ぎました。
北はグラン・オーセロワからブーズロンまで、ブルゴーニュのほぼ全域で甚大な被害が発生したようです。モリス氏が一部を所有するレ・ペルテュイゾの畑も例外ではなかったとのことです。
ブルゴーニュワイン評議会(BIVB・The Bourgogne Wine Board)は、霜で凍ってしまった新芽の被害状況を下記のようにまとめています。ただし、この数字が最終的な収穫量に直結するものではないとモリス氏は注意を促しています。
新芽の被害の割合 | 面積(ブルゴーニュ全体の割合) |
0% – 30% | 15,797 ha (54%) |
31% – 70% | 6,669 ha (23%) |
71% – 100% | 6,784 ha (23%) |
ブルゴーニュに差し伸べられる救いの手
今回の被害に対して、既存の救済措置は全く現実に追い付いていないとモリス氏は指摘します。国の対応然り、保険の対応然りです。保険は、過去5年の年間収穫量の平均に対して、一定の割合で補償する内容になっています。しかし、ブルゴーニュでは2012年、2013年、2014年は降雹に見舞われ、収穫量が激減しています。保険会社は、その3年間の激減した収穫量をそのまま算出数字に加味してしまったため、保険の支払いを期待することができないという指摘もあります。
ブドウ畑でできることは?
一方で、救済を待つよりも先にやることが山積しているのが、生産者たちの状況です。
生き残った新芽があれば、全神経を使って対応しなければなりません。枝が成長して葉がしっかり繁らないと、今後突風や強風に耐えられず、樹ごと倒れてしまう可能性があるからです。また、凍ってだめになった新芽の代わりに、コントレ・ブルジョンと呼ばれる二番目の芽が出てくるかもしれません。コントレ・ブルジョンはシャルドネでは結実が難しいのですが、ピノやガメイなどの品種では結実することもあるようなのです。
生産者を思う
消費者は2016年のヴィンテージの生産量や価格の行方が気になるかもしれませんが、モリス氏はレポートの最後にこう述べています。「私の心はいま、たった数時間のうちに今年の収穫を棒に振るような出来事を目の当たりにしてしまった生産者のことを思っているのです。」
翻訳:編集部 Katz
引用:Berry Bros. & Rudd Wine Blog
“Burgundy struck by frost and hail”
http://bbrblog.com/2016/05/06/burgundy-struck-frost-hail/
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