ヨーロッパにあるワインの産地といえば、フランスやイタリアなどの名前がまず思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。フランスやイタリアにおいては、ワインの生産量も世界で1位2位を誇ります。
ヨーロッパその他産地の特徴
それらの国以外でも、ヨーロッパにはワイン作りにおいて古い歴史を持つ国が多く存在します。
古くからワイン作りを行っている国のほとんどには独自のワイン製法が確立されており、優良な産地の保護や品質の管理の目的で格付けも行われています。
ヨーロッパその他の産地の紹介
ハンガリー、クロアチア、アルメニアなどの東欧の国、ルクセンブルグなどの小国、またキプロスのような島国でもワインが生産されています。
ハンガリーとワインの特色
ハンガリーはオーストリアの西に位置しています。この国のワイン作りの歴史は古く、東欧諸国の中でももっとも古くからワイン作りが行われていた国の一つとされています。
生産されるワインの約70%は白ワインです。輸出されるワインは少なく、70%以上が国内で消費されているのが特徴です。
ハンガリーで有名なワインにトカイ・アスーエッセンシアがありますが、これは白ブドウのフルミント種から作られる貴腐ワインで、フランス・ソーテルヌ地区のシャトー・ディケムやドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼとともに、世界3大貴腐ワインのひとつとされています。これは、ハンガリーの東北部にあるトカイ・ヘジアリャ地方で生産されています。
ルクセンブルクとワインの特色
ルクセンブルクはドイツの西側にある小さな国です。ドイツやフランスにも流れている、モーゼル川の流域にワイン産地が広がっています。
ドイツと同じく、リースリングやピノ・グリから作られる白ワインの生産が盛んで、モーゼル川流域に南北に産地が広がっております。北ではよりフレッシュで酸味のしっかりした白ワインが、南ではふくよかな味わい白ワインが生産されています。
この国のワインの格付けはユニークです。ヨーロッパ産地のほとんどが、地域やシャトーごとに格付けを決めるのに対し、ルクセンブルクでは毎年銘柄1本ごとに審査が行われます。格付け段階は4段階です。このシビアな格付け方法があったからこそ、これまで高い品質を維持し続けることができているのでしょう。
キプロスとワインの特色
トルコの南、地中海に浮かぶ島キプロスでもワイン作りが行われています。キプロスのワイン作りの歴史は、紀元前9世紀にまで遡ります。ここがワイン発祥の地という説もあるほど、古くからワイン作りが盛んです。キプロスのワインで有名なものは、コマンダリアと呼ばれる甘口赤ワインです。ブドウを天日で乾燥させてから醸造、熟成されたワインでとても濃厚な甘いワインになります。コマンダリアを名乗るには、細かな指定をクリアしなければいけません。例えば、指定された村で栽培されたキプロス原産のブドウのみを用いなければなりません。
ローマのアントニウスが、クレオパトラに送ったといわれているワインでもあります。
イギリスとワインの特色
イギリスではウイスキーの印象の方が強いかもしれません。しかし、実際には良質のスパークリングワインをはじめ、赤、白のスティルワインも生産されています。産地はロンドンより南のエリアに集中しています。
イギリスは雨が多い国で、ブドウ栽培には向かない気候とされてきました。しかし、ここ近年の気候の変動により日照量が確保できるようになり、ワイン作りが活性化してきたようです。
ヨーロッパその他の国の魅力はオリジナリティ
ここに挙げたとおり、ワイン産地としては日本であまり馴染みのない国でも古くからワインを作っている国はたくさんあります。国の文化や歴史と照らし合わせ、その国のワインを味わうのもワインの楽しみ方の一つなのかもしれません。
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