近年、南米のワインが注目を集めています。その中でもアルゼンチンワインは、味わいも良く値段も手ごろなワインが多いので、日本でも多くの人に親しまれつつあります。濃厚で風味豊かな赤ワイン、フルーティーな果実味がギュッと詰まった厚みとコクのある白ワインが多く、ワイン愛好家の心を掴んでいます。
アルゼンチンワインの特徴
そんなアルゼンチンは、ワイン生産量世界第5位を誇ります。海洋性気候の隣国チリとは異なり、アンデス山脈を挟んでアルゼンチンは大陸性気候に属します。温暖でありながら昼夜の寒暖差が大きく、この気温差がブドウの成長にとても良い影響を及ぼしているのです。
ブドウを栽培するには降水量が少ない地域ではありますが、アンデス山脈の雪から良質な水を灌漑で利用することによりブドウ畑に十分な水を供給できているのも、アルゼンチンが有数のワイン名産地である理由です。
国内産地の紹介
アルゼンチンにおける主なワインの産地は5つあります。メンドーサ 、サン・ファン、メダノス(ブエノス・アイレス) 、ラ・リオハ、リオ・ネグロです。中でもメンドーサとサン・ファンでアルゼンチン市場の約9割を占めています。
アルゼンチンで栽培される主なブドウの品種は、黒ブドウであれば、マルベックやカベルネ・ソーヴィニョン、シラー、白ブドウはシェリー酒にも使われるペドロ・ヒメネスやアルゼンチンの土着品種であるトロンテス、他にもシャルドネやシュナン・ブラン等です。
メンドーサ地方とワインの特色
アルゼンチン最大の産地は間違いなくメンドーサ地方であると言えるでしょう。この地域ではアルゼンチンワイン総生産量の3分の2以上を生産しています。黒ブドウのマルベックが多く栽培される地域でもあります。メンドーサにおけるブドウ作りの環境で最も重要な要素の1つがブドウ園のある高度です。
メンドーサのブドウ園は海抜800メートル-1200メートルに集中しています。この地域は非常に乾燥しているため、ブドウの木は吸収した水分や養分を優先して果実に集中させるのです。そのため、そのブドウから作られるワインは濃厚で味わい深いワインに仕上がります。
サン・ファン地方とワインの特色
メンドーザとラ・リオハの間にあるこの地域では、もともとは収穫量の多い糖分を豊富に含んだピンク系統品種であるセレーサが多く栽培されていました。今は国際品種を使用した高品質のワインを生産しており、農地の約半分がブドウ畑であり、アルゼンチンで2番目に大きいワインの産地です。
メンドーザ同様、非常に乾燥した半砂漠地帯なので、アンデス山脈の雪からを利用した灌漑が欠かせません。
サン・ファンでは、ボナルダやカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、メルロー、シラーといった赤ワイン用のブドウが作られています。白ワイン用のブドウでは、主にシャルドネやソーヴィニョン・ブラン、トロンテス、ヴィオニエ等が作られます。また、安価で甘口のワインを作るために、クリオージャとセレーサが大量に作られています。さらに、シェリースタイルのワインを製造する地域でもあり、アルゼンチンのブランデーやベルモットのベースとして提供されています。
アルゼンチンワインで欧州ワインとは違った魅力を
アルゼンチンワインは、伝統的なフランスやイタリア等のワインはまた一味違った魅力を感じることができます。家庭で気軽に飲めるコストパフォーマンス良さも魅力の1つですね。
同じブドウの品種で作ったワインでも、ヨーロッパとは異なる環境で作られるだけで、全く別の表情をのぞかせるのです。
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