イタリアはワインの生産量、輸出量ともに隣国フランスと並ぶくらいのワイン大国です。イタリアは南北に長い国で、その全長は1,200キロにも及ぶため、各地で栽培されるブドウや造られるワインに多様性があります。
イタリアワインの特徴
生産量が多いブドウは、黒ブドウならサンジョヴェーセやモンテプルチアーノ、白ブドウならモスカートやシャルドネです。また、土着品種と呼ばれるその土地オリジナルのブドウも数千を超える種類があります。世界的に作られているカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローも栽培されますが、土着品種で作られるワインが多いのも、イタリアワインの特徴と言えるでしょう。
イタリアで初めてワイン法が制定されたのは、1716年のことでした。トスカーナ大公国のコモジ3世が自国の著名なワインを保護するためにそれらの生産地に境界線を定めました。そして、現在は4段階の原産地統制呼称制度になっています。D.O.C.G(保証付原産地統制名称ワイン)が最高位で、次にD.O.C.(原産地統制名称ワイン)、I.G.T.(地理的生産地表示テーブルワイン)と続き、最後はVino da Tavola(テーブルワイン)です。高位に格付けされるためには、使用するブドウのワインに占める割合、畑の一定面積の植樹本数や生産量など細かい決まりがあります。
国内産地の紹介
イタリアには全部で20の州があり、そのすべての州でワインが作られています。山麓地帯や、平野部さらには島にいたるまで様々な地形があるので、ワインも多様性があります。
北部山麓地地帯とワインの特色
イタリアの北部には、ピエモンテ州や、ヴェネト州、ロンバルディア州などがあります。冬は全体的に寒さが厳しい地方です。ピエモンテ州は、バローロやバルバレスコロなど、ネッビオーロというブドウで造られるD.O.C.Gワインが特に多く高品質なワインで有名です。また、日本でもよくみかける、アスティスティスプマンテという甘口のスパークリングワインもピエモンテで作られています。
ヴェネト州やロンバルディア州では、陰干ししたブドウから造るアルコール度の高い赤ワインが有名です。ヴェネト州では、ヴァルポリチェエッラ地域で作られるアマローネ、ロンバルディア州ではスフォルツァートと呼ばれます。甘口もありますが、ほとんどが辛口の赤ワインです。
ティレニア海沿岸地帯とワインの特色
イタリアの西にティレニア海があります。ティレニア海沿岸で州で特に有名なのがトスカーナ州です。フィレンツェを州都とする州で、トスカーナはよく映画の舞台にもなる美しい場所です。サンジョヴェーゼで作られるキャンティ・クラシコやブルネッロ・ディ・モンタルチーノが有名です。(ただし、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノではサンジョヴェーセのことをブルネッロと呼びます)
この地方では、スーパー・トスカンと呼ばれる外来種を使用した高品質なワイン作りも盛んに行われています。ブドウ品種の規定は満たしていないので高位の格付けにはなりませんが、高品質で高価なワインもたくさんあります。
アドリア海沿岸地帯とワインの特色
イタリアの東側のアドリア海に沿った地域にある州は、丘陵地や山岳地帯が多くあります。アブルッツォ州のD.O.C.であるモンテプルチアーノ・ダブルッツォなどが有名です。このワインはモンテプルチアーノから作られる赤ワインです。
イタリアワインの魅力は多様性と土着品種
その南北に長い地形と、20のすべての州でワインを作っていることから、イタリアワインはとても多様性のあるワインといえます。また、他の国で作られたワインではあまり見ることがない、土着品種を目にする機会も多いのがイタリアワインの特徴であり楽しみです。初めて目にするブドウの品種を見つけたら、ぜひ飲んでみてください。それは、お気に入りの1本との出会いかもしれません。
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