2014年現在、オーストラリアは、ワイン生産量世界第6位、輸出量では世界第4位のワイン大国です。
国内産地の紹介
オーストラリアのワイン産地には、ニュー・サウス・ウェールズ州、ヴィクトリア州とタスマニア州、南オーストラリア州、西オーストラリア州があります。
ニュー・サウス・ウェールズ州とワインの特色
オーストラリアのワイン産業は1790年代にニュー・サウス・ウェールズ州のシドニー周辺でブドウの栽培が始まったのが起源です。ブドウ栽培は1820年代になってハンター・バレーに広がり、現在では国内ワインの約33%を生産しています。特にハンター川下流のローワー・ハンター・バレー、アッパー・ハンター・バレーではシラーズから重厚な赤ワイン、シャルドネやセミヨンから辛口の白ワインが生産されています。また、カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールなどから長期熟成タイプの力強い赤ワインも造られています。主要産地は、ハンター・バレー、マッジー、オレンジ、カウラ、ヒルトップス、キャンベラ・ディストリクトです。
ヴィクトリア州・タスマニア州とワインの特色
ヴィクトリア州は、オーストラリア大陸で最も冷涼な気候です。19世紀半ばからゴールドラッシュでワイン産業が興隆し、ワイン産出量、および英国向け輸出量は当時国内最多でしたが、19世紀末のフィロキセラ(ブドウネアブラムシと呼ばれる害虫)の襲来により葡萄畑は壊滅してしまいました。最も古い産地であるヤラ・バレーがオーストラリアにおける欧州系品種や高級スパークリングワインの産地として復活したのは1960~80年にかけてです。
ブティックワイナリー(高級ワインを作る小規模ワイナリー)や海外資本(仏シャンパーニュメーカーのモエ・エ・シャンドンなど)が進出して特色あるワインを作っています。そのほかの産地としては、良質なピノ・ノワールやシャルドネの産地として知られるジロング、リゾート地としても有名なモーンントン・ペニンシュラ、海に囲まれた最南端の島であるタスマニア州が挙げられます。
南オーストラリア州とワインの特色
南オーストラリア州では、オーストラリア全土の収穫葡萄の半数近く(48%)がワインに加工され、主だったワインや葡萄に関する研究機関を有しています。ペンフォールズやヤルンバなど国内大手ワインメーカーもバロッサ・バレーを中心にワインを生産しています。主な産地は伝統的品種シラーズの産地バロッサ・バレー、アデレード・ヒルズ、クレア・バレー、エデン・バレー、マクラーレン・ヴェイル、クナワラです。他州と比べてドイツ系移民の入植が多く、特にクレア・バレーではドイツ系品種のリースリングが高い評価を受けています。
西オーストラリア州とワインの特色
主要産地は、 カベルネ・ソーヴィニヨンの産地として名声を築いているマーガレット・リヴァーと、州内の一番古い産地で、シュナン・ブランを始めとした白ワイン用品種の栽培が盛んなスワン・ディストリクト、冷涼な気候のグレート・サザンです。ワイン向きの涼しい気候が注目されて、近年活発な開発が行われている州です。
オーストラリアワインの品種
オーストラリアで生産されている主な品種は、赤はシラーズ(フランスではシラーと呼ばれています)、白はシャルドネやリースリングですが、各地で様々な品種のブドウが生産されています。オーストラリアではワインのラベル表記法が定められています。ヴァラエタルワインは、産地・品種・収穫年(ヴィンテージ)共に、各85%以上使用した場合(品種ブレンドの場合は表記品種合計で85%以上使用した場合)に表記が認められます。また、ヴァラエタルブレンドワインは、使用ブドウ品種がブレンド割合の多い順にラベルに併記されます。
あわせて読みたい