ルーマニアはとても良質なワインを生産するヨーロッパでも有数のワイン生産国です。緯度はフランスと同じくらいのところにあります。大陸性気候ですが、国の東側、黒海沿岸の冬は穏やかです。国の中央部を走るカルパチア山脈を境に山岳部と平野部に分かれるため、作られるワインのタイプも様々です。
ルーマニアワインの特徴
ブドウ畑の面積の広さも、東ヨーロッパではトップクラスです。国民の大半がキリスト教徒であることから、中世の時代から修道院などで盛んにワイン作りが行われていました。とてもワインと関わりが深い国といえるでしょう。
ルーマニアは甘口のワインが有名です。特に、コトナリ地方の貴腐の白ブドウから作られるワインは世界的にも高い評価を受けています。
黒ブドウではカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、白ブドウではアリゴテなど、世界的な品種も多く栽培されていますが、ルーマニア固有の品種も多く作られています。白ブドウのフェテアスカ・レガーラや、黒ブドウのフェテアスカ・ネアグラなどがあります。
ルーマニアのワイン法は、2006年のEU加盟を受けて改正されました。以前の4段階の格付けから、3段階に変わりました。D.O.P(保護原産地呼称)、I.G.P(保護地理的表示)、Vinuri fara Indicatie Geografica(地理的表示のないワイン)です。現在、D.O.Pには33の産地があり、I.G.P.は12の産地があります。さらに、D.O.Pにはブドウの収穫時期も3段階で細かく表記されます。C.M.D.はブドウが完熟期に収穫されたということです。C.T.は完熟期より遅めに収穫されたことを表します。最後に、C.I.B.は貴腐ブドウになってから収穫されたことを表します。
国内産地の紹介
ルーマニアは国のいたるところでワインが作られています。ワイン産地は、大きく分けて7つあります。モルドヴァ地方、ムンテニア地方、トランシルヴァニア地方、ドブロジャ地方、オルテニア地方、バナット地方、クリシャナ地方です。それぞれの地方にD.O.P.が散らばっています。
モルドヴァ地方とワインの特色
ルーマニアの東部に位置するモルドヴァ地方はルーマニア最大の生産地です。ワイン生産量の全体の約1/3がこの地方で生産されます。北中部にあるD.O.C.ヤシでは、コトナリという有名な貴腐ワインが生産されています。
ムンテニア地方とワインの特色
ムンテニア地方では赤ワインが多く生産されます。首都ブカレストの北にあるD.O.C.デアル・マーレは赤ワインの生産の中心地です。フェテアスカ・ネアグラや、ぶらウフレンキュッシュなどのブドウから高品質なワインが生産されています。
トラシルヴァニア地方とワインの特色
トランシルヴァニア地方はルーマニアの中央に位置します。高原が多く、白ワインの生産が盛んです。とてもさわやかなワインを作ります。中でも広い産地を持つ、D.O.P.タルナーヴェの白ワインが有名です。
ドブロジャ地方とワインの特色
ルーマニアの南東、黒海に面する地方がドブロジャ地域です。温暖な地域で、冬も厳しい寒さはありません。この地方で有名なワインは、貴腐ワインなどの甘口ワインです。カベルネ・ソーヴィニヨンやフェテアスカ・ネアグラから赤ワイン、シャルドネやピノグリから白ワインも作られています。
ルーマニアワインの魅力は掘り出し物感
ルーマニアは、ワイン作りにはとても長い歴史があり、上質なワインをたくさん作っています。しかし、実際のところその他ヨーロッパのワイン大国に比べると、そのワインはまだまだ有名ではありません。最近では日本でも、インターネットはもちろん大手百貨店などでもルーマニアワインが購入できるようになりました。
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