ギリシャはヨーロッパの中でも最も古くからワイン作りが行われている国の一つで、その歴史は5,000年とも言われています。本土とエーゲ海の島々のいたるところでワイン作りが行われており、地域独特のブドウ品種も多く存在します。
ギリシャワインの特徴
ギリシャには、レツィーナと呼ばれる松脂が入った独特のワインがあります。その昔、ワインを貯蔵する陶器にアンフォラと呼ばれる松脂を使って封をしていたのですが、その松脂が溶け込んでしまったことで出来たワインです。現在もヨーロッパ内ではギリシャでしか作られておらず、高い人気を誇っています。
ギリシャのワイン法は、4段階の原産地統制呼称制度です。
最高位はO.P.A.P.(オパプ)で、認定されている地域の70%は古代から続くワイン産地です。その次が、O.P.E.(オペ)です。オペは甘口とデザートワインのみの等級です。マスカットかマヴロダフネから作られたものだけに与えられます。
次がTopikos Oinos(トピコス・イノス)でフランスのヴァン・ド・ペイ(地酒)にあたるものです。ギリシャには300もの固有品種があり、これを統制しています。テーブルワインにあたるのが、次のEpitrapezios Oinos(エピトラペジオス・イノス)です。
一般のテーブルワイン、CAVAと呼ばれる熟成されたタイプのテーブルワイン、レツィーナの3つのカテゴリーに分かれています。
国内産地の紹介
ギリシャのワイン産地は大きく分けて6つあります。北部ギリシャ地方(マケドニアとトラキア)、テッサリア地方、イピロス地方、中央ギリシャ地方、ペロポネソス半島、エーゲ海諸島です。
北部ギリシャ地方(マケドニアとトラキア)とワインの特色
北部ギリシャ地方には、1971年に初めてO.P.A.P.に認定されたナウサという産地があります。クシノマヴロという品種から作られる赤ワインが有名です。ハルキディキという産地は、古代ギリシャ以来の由緒あるワイン産地で、ワインの他にスピリッツも生産されています。
ハルキディキ半島中央、メリトン山の斜面に広がる場所にコート・ド・メリソンという産地があります。ここでは、ギリシャの固有品種のほか、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなど多彩な品種を生産しています。
中央ギリシャ地方とワインの特色
ギリシャでワインの生産量がもっとも多いのがこの地域です。松脂入りワインのレツィーナもこの地方で多く作られています。特にアッティカという産地の土壌は、レツィーナの原料であるサヴァティアノ種の栽培に最適の土地と言われており、たくさん作られています。この場所では、カベルネ・ソーヴィニヨンのも良質なワインの生産に成功しています。
また、この地方にあるテーベという産地はギリシャ神話に登場するワインの神、ディオニソスの母の故郷です。主にギリシャ固有品種が栽培されています。
ペロポネソス半島とワインの特色
ギリシャワインの約25%が生産されている主要な産地です。ネメアという産地は、ギリシャ神話でヘラクレス生誕の地と言われています。そこで生産される、アギオルギティコ種から作られる赤ワインが有名です。濃いルビー色をしており、ヘラクレスの血と例えられることもあります。
エーゲ海諸島とワインの特色
美しい島々が浮かぶエーゲ海ですが、その中のたくさんの島でワイン作りが行われています。中でもクレタ島はワイン生産に大変適した気候と土壌に恵まれており、たくさんのワインが作られています。赤ワインは辛口だけではなく、甘口も多く作られます。
ギリシャワインの魅力はその歴史
ギリシャワインの魅力は、なんといってもその歴史の長さと、古代から作られている品種を使ったユニークなワインです。レツィーナなど、他の国のワインではなかなか味わえない魅力を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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