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もっとワインについて深く知りたい人のためのワイン関連本5選

Katz
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ワインについて基本的なことがひととおり分かってくると、さらにワインに対する知的欲求がわいてきます。

なかにはワインについての資格をとろうかとお考えの方もいるでしょうし、そこまで本格的にワインを極めるつもりはないけどもっといろいろなことが知りたいという方もいるでしょう。

このコラムではそんなワイン中級者から上級者向けのワインに関する書籍、ソムリエの著作や学術本といった本を紹介していきます。

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☆『ワインテイスティング』佐藤陽一著(アム・プロモーション)

2009年に初版が発行されてから5刷を超える人気本です。
著者の佐藤陽一さんは全日本最優秀ソムリエとして世界コンクールに日本代表として出場された方です。どちらかというとソムリエやワインエキスパートなどの資格を目指しているような中級者向けの本ですが、ワインの材料であるぶどうの見分け方、香りの分類の仕方、テイスティングの思考方法など、素人のワイン愛好家にとっても役立つ知識が盛りだくさんです。

たくさんのカラー写真が掲載されていて分かりやすく、とくにワインの液面を映したカラー写真の出来栄えが秀逸で、ワインの微妙な色合いのちがいまでもが色あざやかに印刷されています。

ワインテイスティングを本格的に学ぶ方が教科書として読まれていることも多い一冊です。

☆『10種のぶどうでわかるワイン』石田博著(日本経済新聞社)

この本の著者の石田博さんも全日本最優秀ソムリエコンクール優勝者で世界コンクール日本代表になられた日本を代表するソムリエのひとりです。

この本の特徴はワインを原材料であるぶどうから理解していこうという点です。代表的なブドウの品種を10種類あげてその特徴を説明し、同じ品種であってもぶどうの育った気候や土地、生産された年による出来のいかんによって、どのような味のちがいが生まれるのか、といった内容を平易な文章で学ぶことができます。

ぶどうの品種についての知識や考え方を身につけることで、なんとなくこのワインが好きだと思っていたことが根拠をもってわかってくるようになります。

☆『新しいワインの科学』ジェイミー・グッド著梶山あゆみ訳(河出書房新社)

著者のジェイミー・グッドは植物生理学の博士号を持つイギリスのワインライター。
2005年に出版され、海外の出版社の賞を受賞した『ワインの科学』の新版です。この本はワインの醸造、ぶどうの栽培、味覚にいたるまでワインのすべての工程について、きわめて冷静に科学的な知見にもとづいて書かれています。

専門的な記述も多いですが、一般の読者が十分ついていけるくらいの内容と分量なので、読み物としても気軽に楽しめます。様々な雑誌や本などでワインについて断片的な知識をたくさんもっているけれど体系的な理解がなかなかできない、という方はこの本でワインを科学的に理解することで知識をかなり整理できることでしょう。

ワインの専門家向けの文章や、ソムリエやショップの説明も難なく理解できるようになります。

☆『ワインと風土歴史地理学的考察』ロジェ・デュオン著福田育弘訳(人文書院)

この本は学術研究書として書かれた本で、ワインについての楽しみ方などを学ぶ本ではありませんが、ワインの人文学的な意味づけ、ワインと人の歴史的な関わりや営みについて、歴史、文化、宗教などの観点から学ぶことができます。
といってもそれほど難解な著作ではなく、ブドウの栽培地としてはイタリアやギリシャなどの地中海沿岸地方が最も適しているのになぜワインの世界的な名産地はフランスにあるのか、といった素朴な疑問から、歴史的、地理的なワインの歴史を知ることができるといった内容です。

ワインに関する学術書では名著とされている著作のひとつで、文化史や歴史に興味があるワイン愛好家の方なら楽しめるでしょう。

☆『エリゼ宮の食卓その饗宴と美食外交』西川恵著(新潮文庫)

最後にワイン好きとしてはちょっと変わった本を紹介しましょう。著者の西川恵さんは毎日新聞の記者で国際政治が専門。
この本は緊迫した国際政治の舞台で、フランスのエリゼ宮の晩餐会でもてなされる料理やワインがいかに外交的な意味をもっているのか、といった観点から書かれた「ワインと政治」をめぐるルポタージュです。

著者のフランス料理やワインに関する広い知識、政治的背景に対する綿密な取材によって、まるで政治ミステリーを読んでいるかのような楽しさがあります。
国のトップ同士のかけひきの現場にどのようなワインが登場するのか、そしてそのワインが持つ政治的なメッセージとは何か、食材の選択にいたるまでメッセージが仕組まれている綿密さには驚いてしまいます。

登場するワインは産地、銘柄、年代まで細かく書かれており、ワインの知識のある方ほどおもしろく読めるでしょう。本作はサントリー学芸賞を受賞しており、著者は『ワインと外交』『饗宴外交』といった著作も出版されています。

以上、ワインをより深く理解するための書籍を、ソムリエの書いた教科書風のものから学術本、科学的観点から書かれた本から政治とのかかわりについて書かれた本まで紹介しました。

ワインについての様々な視点をもつことで、よりワイン人生を豊かなものにしたいですね。

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